売却する前にリフォームするべき?
「良い値段で住まいを売るためには、売却前にリフォームをしておいたほうがいいのでは?」このように考える売主様は多いものです。たしかに、中古住宅とはいえ、傷んでいたり汚れていたりするより、キレイなほうがいいに決まっています。でも、リフォームには費用がかかります。「リフォーム費用は販売価格に上乗せすればいいでしょ?」と考える売主様も少なくありませんが、残念ながら話はそんなに簡単ではないんです。
<自分でリフォームしたい買主様が増えている>
最近の若者の“DIY熱”はとどまることを知りません。「自分好みの住まいを自分の手で創っていきたい」と考えている売主様は、物件の現況にあまりこだわりがないもの。多少汚れていたり、傷んでいても問題にしません。もちろん、買主様によって度合いは違いますが、人によっては、相当傷んでいる物件でも「手の入れ甲斐がある」と感じるような“猛者”もいらっしゃいます。
そんな志向を持った買主様がリフォームしたばかりの物件に案内されたらどうでしょう。「自分でリフォームしたかったのに・・・」と悔しい思いをするに違いありません。また、そういう買主様は不動産売買の事情にも通じているもの。「リフォームの費用が販売価格に上乗せされているはず」と理解するでしょう。自分の好みに合わないリフォームがされていれば、買主様の購買欲がガタ落ちになるのは明らか。つまり、リフォームしたことがマイナスに作用してしまうことがあるわけです。
<販売価格はほぼ築年数で決まる>
不動産会社は販売価格を決めるために査定を行います。査定額は物件の状態によって変動がありますが、実際のところ、売主様が思っているほどの違いは生じません。さらにいえば、物件の状態が良いことがプラス査定になることは、あまり多くないんです。
中古住宅は、立地や築年数、構造や設備によって判断されます。“上物(うわもの)”と呼ばれる建物自体の価値は、年を追うごとに著しく低下していきます。しかも、低下率は築10年で何パーセント、築20年では何パーセントと機械的に査定されてしまい、どれだけ手をかけた建物であっても、その内容はほとんど加味されません。
<どのくらいリフォームすればいい?>
“自分の手でリフォームしたい派”が増えているとはいえ、全体から見ればまだ少数派です。「まったく手を入れないでほしい」と考えている人はさらに少ないはず。では売却の際、どの程度まで手を入れたらいいのでしょう。
それは、家で過ごす時間が長い人のことを思うと明らかになります。一般的には奥様方ですね。奥様方は内見のとき、汚れやすいキッチンや風呂場、洗面場、トイレなどを重点的にチェックします。そうした水回りを中心にキレイにしておくと評価がグンとアップするのは確実です。
壁紙やクロスなどは、汚れやシミなどが目立つ箇所だけを新品に張り替えることで見違えるようになります。それほど費用はかからず、見栄えを良くすることができるのでおすすめできます。
<リフォームは買う人の気持ちになって考える>
住まいに手を入れることは、販売価格には反映しづらい反面、“売りやすさ”には大きく貢献します。たとえば、築20年、築30年の建物と聞くと、かなりの古さを想定するものです。「けっこう傷んでいるんだろうな・・・」と思いながら内見に来たところ、想像以上にキレイな物件だったら、「ここ、掘り出し物かも!」と購買意欲が掻き立てられるに違いありません。
戸建て住宅の場合、売却までには平均で3カ月はかかると言われています。3カ月を過ぎても買主様が見つからない場合、値下げを示唆されることも珍しくありません。中古住宅を高く売ることは簡単ではありませんが、早く売るための方法はあります。売れ残り→値下げ、という流れを考慮すれば、早期売却を実現することが賢い売り方だと言えます。売却前の適度なリフォームは、そのための有効な手段というわけです。
<まとめ>
築年数が経過している住まいの場合、リフォームで価値を上げることは難しいのが実際のところです。売却前のリフォームはあくまで見栄えを良くするため、キレイに見せるためのものと割り切り、ほどほどにしておきましょう。ハウスクリーニングなどあまり費用をかけないのがおすすめです。不動産会社に売主様の希望を伝え、よく相談してから決めましょう。
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