更地と古家付き
古い住まい(古家)付きの土地を売却する場合、建物を解体して更地で売る場合と、建物が残ったままの状態で売る場合では、どちらが有利なのか考えてしまいますよね。そこで、更地での売却と古家付き売却のそれぞれのメリット・デメリットや、費用や税金、売却のしやすい条件について見ていきましょう。
「更地」で売るメリット
更地のほうが古家付きより買主様が早く見つかる可能性が高いと一般的には言われています。これは、新築を希望する買主様が全体の大きさをイメージしやすいこと、古家の解体費用を負担する心配がないこと、そして、工事にすぐ着工できることなどの理由があるからです。
住宅を建てるとき、地盤調査は必須。調べてみて、もし地盤が緩いときは地盤改良を行わなければなりません。古家を解体して更地となった土地は、地中埋没物の確認や土壌調査、地盤調査など、住宅建設のための調査の実施が容易です。さらに言えば、建物が乗っている状態が続いていたために地盤が固くなっている可能性もあります。
万が一、地盤が緩い場合、地盤改良にかかる費用は高額です。たとえば、表層部分の改良では30万円以上、深いところまで必要な時に行う柱状改良では50万円以上かかります。また、長い間農地や空き地だった土地よりも、住宅が建っていた更地のほうが買主様にとっては安心と言えます。これは成約につながるメリットです。
「更地」で売るデメリット
古家付きの土地を更地にするには、当然ですが、建物を解体しなくてはいけません。その費用は建物の構造により異なり、一般的には木造住宅で坪4万円、鉄骨住宅は坪5万円、RC住宅は坪6万円程度かかります。30坪の木造住宅の場合、120万円程度が必要になるわけです。また、家具など残置物の回収・廃棄や、解体後の整地、測量などで費用が発生することもあります。
忘れてはいけないのが固定資産税です。更地にした場合、古家が建っているときよりも固定資産税が2〜3倍高くなるケースもあります。つまり、長期間に渡って買主様が決まらないと、高くなった固定資産税を払い続けなければならないわけです。特に駅の近くなど、固定資産税評価額の高いエリアにある場合は気をつけてください。
「古家付き」で売るメリット
古家付き土地(中古住宅として売却)の場合、更地にするための解体費用がかからないため、その分、売却価格を安く設定できるのがメリットです。また、古家付きの場合、買主様がその家に住むことをイメージしやすいので、検討しやすいのもメリットと言えます。
古家付きの土地の場合、低金利の住宅ローンの融資対象になります。つまり、買主様が購入しやすいということ。これは、売主様が売りやすくなることを意味します。ただし、古家付きの土地では、借入期間が短くなるケースがあるので、金融機関に確認が必要です。
加えて、古家付きの土地で期待できるのが税制面でのメリット。「住宅用地の軽減措置特例」が適用されるため、敷地面積のうち200㎡までの部分については6分の1、200㎡を超える部分については3分の1に固定資産税を減額することが可能になります。
「古家付き」で売るデメリット
古家付き土地(中古住宅として売却)の場合、建物の印象が売れ行きを左右します。古すぎる建物は印象が良くないため、なかなか買い手が現れないことも珍しくありません。また、建物が残っている状態では、地盤の固さや埋没物の有無など土地の状態の確認に手間がかかることから、敬遠される場合もあります。
また、古家付きのまま売却できても、後になってから建物の契約不適合責任を問われる可能性も否定できません。「契約不適合責任」とは、売却した古家にシロアリの被害や、土地に埋没物があるなどの欠陥が見つかった場合、買主様から補修費用や損害賠償、解約などが求められるものです。こうした事態を未然に防ぐためには、売買契約の際、建物については一切の担保責任を負わないものとする「契約不適合責任免責」の文言を加える方法があります。
加えて、実際の売買では、古家の解体費用分の値引きを求められたり、解体費用の負担を求められるケースも。大きな負担を被らないためにも、売り出し価格の設定には十分に注意しましょう。
まとめ
古家付き土地の売却には、建物を解体してから売却する方法とそのまま売却する方法があり、それぞれのメリットとデメリットを考慮する必要があります。実際のところ、立地が良く、建物の状態も良好なら、古家付きのまま売却するのはとても現実的な方法と言えるでしょう。
とはいえ、立地や建物の評価は難しく、エリアの特性などを踏まえながら適切に判断するには、プロの目が欠かせません。当社では地元密着の経験と実績を活かしたアドバイスをさせていただきます。どちらの方が売りやすいかといったお悩みも、どうぞお気軽にご相談ください。
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